方言のおもしろさを評価するとしたら、ポイントは使う頻度と意外性じゃないかと思う。
千葉の方言では、例えば「てっぱつ」。これは「大きい」という意味で、「とても大きい」だと「すてれっぱつ」になる。標準語とはまるで違う言葉なので、どんな意味なのか推測のしようもない。「とても」になったときの変化のしかたも不思議で、意外性という点ではとても評価が高くなると思う。けれど、残念なことにあまり使われていない言葉のようだ。話として聞いたことはあるけれど、会話の中で使われたのは聞いたことがない。日常生活の中で「こんな言葉もあるのか~、こういう使い方をするのか~」と感じる機会がないのは、いまいち面白みに欠けるので、使う頻度という点では評価が低くなりそうだ。 別の例でいうと、「おっぺす」。これはけっこうよく使われている言葉だと思う。「ここにハンコおっぺして」など。使う頻度の評価は高いと思うが、初めて聞いたときでも「押す」という意味だろうということはなんとなくわかる。標準語とちょっと違うだけの言葉は、意外性はあまりない。同じ言葉なのに意味は微妙に違う「しびれる」や「かまう」となると、それはそれで意外性があっておもしろいのだけれど。 そのようにして考えてみると、おもしろい千葉の方言ランキングのかなり上位に来そうなのが「おいねー」だ。これは「いけない、だめだ」という意味。意外性も十分にあるし、使う頻度は、私が鴨川に住んでいた頃はこの言葉を聞かない日はなかったというくらい。 そして、この言葉は私が東京から鴨川に移り住んで、初めて覚えた方言でもある。私が東京出身だと知って「じゃあ、『おいねー』なんて言葉、知らねーっぺ」と言った人は、いったい何人いただろう。その人たちはみんなおもしろそうに笑いながら、ちょっと自慢げで、私が知らないと言うのを期待していた。もちろん、初めて聞かれたときは知らないと答えた。するとその人はますます自慢げに意味を教えてくれ、私がへ~と感心すると、満足そうに笑っていた。二人目からは、もう教えてもらったけれどそんな言葉知らなかったからびっくりした、おもしろいねなどと答えていたのだけれど、やっぱりみんな満足そうに笑っていた。そういう様子を見るのが私は好きだった。 ちょっと古い話だけれど、今年の5月3日に「九条を守ろう!憲法制定60周年 歌と映画の集い」が西かずさ九条の会主催で木更津で開催されたと新聞で読んだ。その中で「九条上総弁」という歌が歌われたそうだ。 くにとくにが センソではなしつけべ なんちーのは 「おいねー」ってやっぱりいい言葉だなと思う。
by roki204
| 2007-07-26 16:31
| 千葉のあれこれ
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