※ ネタバレあります
久しぶりに映画を観に行った。大好きなティム・バートンの「アリス・イン・ワンダーランド」にしようかとだいぶ迷ったけれど、「グリーン・ゾーン」にした。 ボーン・シリーズのマット・デイモンとポール・グリーングラスがまたタッグを組んだアクション映画、「ボーン・アルティメイタム」を超える臨場感などと宣伝され、キャッチ・コピーは「114分間、あなたは最前線へ送り込まれる」。私が観ることにしたのは、そんな陳腐な宣伝に惹かれたわけではなく、イラクにあったとされていた大量破壊兵器の話だったからだ(マット・デイモンが好きだからというのも大きかったけれど)。 とは言っても、そんなに期待していたわけではなかったのだが、観てみたら期待以上のものだった。純粋に娯楽としてアクション映画を楽しみたい人にとっては、まあまあという程度かもしれないが、イラク戦争とはなんだったのかということに正面から向き合ってまじめに考えて取り組んだ映画という印象を持った。 映画の中では、大量破壊兵器はなかった、情報をでっちあげてアメリカの都合で戦争を始めてしまった、ということをはっきり言っている。そして、そのせいでイラクをめちゃくちゃにしてしまったのだということも。登場人物にイラク人通訳が出てくる。彼に「俺だって国のことを思ってる。あんたたちの思いより強い。俺の国だから」、「あんたたちにこの国のことは決めさせない」と言わせているのは、そのことに対する反省ではないだろうか(今でも被害が続いているイラクの人たちにはこんなものでは足りないだろうが)。しかも、このセリフを、上司に背き、危険を顧みず、正義のためにと必死になっていた主人公に向かって言っているのだ。 プログラムには、「イラク戦争とは?」なんてことも書いてあった。映画のプログラムだからしかたがないかもしれないが、アメリカの問題であって私たちとは何の関係もないかのような書きぶりには、強い違和感があるし、怖くもなってくる。日本もおおいに関係していたイラク戦争について、きちんと考え、何が起きていたのかを知らなくてはいけないと思う。普天間や在日米軍をどうしたらいいのか考えるためにも。
by roki204
| 2010-06-07 00:26
| 本や映画
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