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ベビーサイン その3

1号が1歳3ヶ月くらいのとき、私の両親と一緒に出かけて電車に乗ったことがあった。そのとき、1号は「ミッキーマウス」のサインをやって見せた。中吊り広告か何かの中に大好きなミッキーを見つけたのだろうと思い、周りを見たけれど、どこにもミッキーはない。ないよと言っても1号はサインを続ける。どこだろうねと母と私であちこち探し、やっと見つけたのは隣に座っていた人の腕時計の文字盤の中。そんな小さいミッキーをよく見つけたものだと感心しつつ、ミッキーいたねと1号に言うと、1号は本当に嬉しそうににっこりしていた。
もう一つは、1号が1歳9ヶ月くらいの頃のこと。夜、布団の中に入ってから、唐突に1号が魚のサインをした。私の両親の家で魚に餌をやってから1ヶ月以上たっていたけれど、そのことを思い出して話したかったらしい。「魚を見たね、おもしろかったね」と言うと、嬉しそうにうなずき、「ぽっぽっぽっ」と言いながら餌をやるしぐさをした。自分の目を指差して、魚がはねて目に水がかかったことも話していた。
二つとも、ベビーサインを使えなければ、1号が何を伝えたかったのか私にはわからなかっただろう。伝えられなかったところで何かとても困ったことが起こるような重大なことではないが、伝わったことで、1号がどんなことに関心をもっているのか、どんなふうに感じているのかを私は知ることができた。それに、ただ単純に、1号との会話が楽しかった。
2号との間には、残念ながらベビーサインの思い出はほとんどない。何も私が二人目だからと手抜きをしてベビーサインを教えなかったわけではない。2号は発声に関わる部分の発達はとても早く、ベビーサインを教えるそばから言葉で言えるようになっていき、サインを使わなくても、言葉での意思疎通がすぐにできるようになってしまったのだ。
そして今、1号と2号は、自分も赤ちゃんのときにやっていたのだということは忘れてしまっているけれど、その頃のことを話してやるとおもしろがって、3号にベビーサインを使いながら話しかけている。
3号は、はじめはなかなかベビーサインで伝えられるということに気がつかなかったようだ。「おっぱい」というサインもおっぱいを飲みながらやってみせたりしていた。そんなときに「そうだね、おっぱい飲んでるね」と言うと、こっちを見てにっこり。それを繰り返しているうちに、だんだんわかってきたらしい。今では、おっぱいがほしくなったときにちゃんとサインをやってみせるようになった。「飲みたい」もできるようになったし、「もっと」のつもりで教えたサインは「食べたい」の意味でやるようになった。伝える手段があるのを知り、伝えられるようになったことが、本当に嬉しい。3号はそんな顔をしながらベビーサインを使う。
そんな3号が夫に絵本を読んでもらっていたときのこと、私のほうを見て興奮した様子で手を盛んに動かし始めた。まだ完全には覚えていない「うさぎ」のサインをやっているようでもあったけれど、とにかく何でもいいからやって見せているという感じだった。3号は絵本が大好きで、自分で持ってきて開いて見ていたり、読んでくれというふうに私に手渡したり、ページを開いただけでキャッキャッと笑ったりするほど。だから夫に本を読んでもらって、すごく嬉しくて、楽しくて、おもしろくて、そんな気持ちを私に伝えたかったんじゃないかと思う。気持ちがあふれ出してサインになった、そんな感じだった。
これからも、伝わって嬉しいという気持ちが、もっと伝えたいという気持ちにつながるように、いっぱい話そうね。
by roki204 | 2007-08-16 01:03 | こどもたち
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