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人口に関する考察

まだ東京の実家にいた頃、日本に来ていた留学生や旅行のときに知り合った何人かのドイツ人に人口を聞かれて驚いたことがあった。日本の人口が1億2千万人くらい、東京都は1千200万人くらいというのは私も知っているけれど、そうではなくて、住んでいる市町村や区の人口を聞いてくるのだ。知らないと答えるのだけれど、聞くほうは当然、自分の町の人口は何人だとか言ってくる。そう言われたところで、それが多いのか少ないのか、どれくらいの規模なのか、全然ピンとこない。私が話したことのある人はほんの数人なので、ドイツの人みんな人口の話が好きなのか、たまたまその人たちだけ好きだったのか、私にはわからないのだけれど、それまで人口が話題になることはなかったし、ほかの国に旅行に行ったときも聞かれたことはなかったので、とても不思議だった。
その後も実家がある区の人口を調べたり、気にすることはなかったのだけれど、千葉県に引っ越してから、人口のことが話題になることがけっこうあったので、また驚いた。そして私自身、自分が住んでいるところの人口が気になりだした。最初の鴨川市では、当時は3万3千人くらい。そして、ニュースで「オープンした初日の来客数33万人」などと聞くと、鴨川市の人口の10倍か、などと基準にして考えるようになった。今でも、W杯を見ながらスタジアムの観客数が○万人などと聞くと、ここの人口と同じくらいだなあとか、ここよりも多いなあと考えることが多い。
では、その数万人という規模は、どのくらいなのか。
鴨川に住んでいた頃、こんなことがあった。会社の人と民宿で宴会をやった後、みんなはそのまま泊まるけれど、私一人はタクシーで帰ることに。タクシーが来て、乗り込んだら、私の顔を見た運転手さんが「ああ、○○に勤めてるでしょ。仕事で走っているとき、時々見かけてたから知ってるよ」。友達と飲み屋に行ったときには、知らないおじさんに「××の向かいのアパートに住んでるでしょ」と言われたこともある。タクシーの運転手さんと、飲んでいたおじさんが同一人物だったのかどうかはわからないけれど、人が少ないとすぐに覚えられてしまうんだな、悪いことはできないな、と思った。
今、住んでいるところもそうだ。街の中心部からはずれたところなので、昔からの住人が多く、後から来た私は覚えていなくても、前から住んでいた人たちはみんな私のことを「△△のお嫁さん」と覚えているようだ。選挙の投票のときなんか、夫の知り合いが係をやっていることが多く、投票券を見せる前から「皆さん、おそろいですね」なんてチェックされたりすることも。
それに、こどもたちが保育園に通い出してから、知り合いが増えたので、いろんなところで会ってしまう。スーパーや公園で会うならともかく、ファミリーレストランやファーストフードの店で会ってしまうと、こども同士は喜んでいても、親はちょっと決まりの悪い思いをしたりする。私は、“こういうところで食べることは滅多にないんだけど・・・”という顔をして見せるんだけど、相手には通じていないだろうな。
そういうわけで、私の経験からすら推測すると、人口数万人というのが境目になり、それ以上だと人口のことはあまり話題にならず、それ以下だと話題になるし、その規模は「いつでもどこでも、誰か知り合いに見られている可能性があるから、変なことはできない」ということになる。はじめのうちは、やりにくいなあと思うこともあったけれど、大勢の人がいても誰もいないかのようにお互いに無関心な都会よりも、こういう小さい町のほうが暮らしやすいと、今では思っている。
by roki204 | 2006-07-05 12:13 | 千葉のあれこれ
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