大学3年のとき、千葉県の南のほうにある大多喜町に行ったことがある。私の学科では3年生の4月から研究室に所属して卒論のための調査や実験をしていて、友達が大多喜町に調査に行くと言うので手伝うために一緒に行ったのだ。行ってみて、調査地である山の持ち主のおじいちゃんが何を言っているのかさっぱりわからず、東京で奉公したことがあるというおばあちゃんに通訳してもらうほどだったのに驚いた。千葉県は東京の隣なので、そんなに違う言葉をしゃべっているとは思わなかったのだ。たぶんその言葉は、山と浜での違いがあるとは言え、房州弁だったのだろうと思う。その頃は、まさか自分が千葉県で暮らすようになるとは思っていなかったし、房州弁のヒアリングはだいたいマスターし、自分でも多少は話せるようになるなんてことも、夢にも思わなかったのだけれど。
そのとき、もう一つ驚いたのはヤマビル。大多喜町にもいるけれど、私たちが遭遇したのは鴨川市(旧天津小湊町)の清澄寺のあたり。「ヤマビル注意」の看板を見て、そんなものいるの?と思ってよく見ると、いるわいるわ、うじゃうじゃといた。後で知ったことだけれど、ヤマビルは鹿のいるところにいるそうで、大多喜町や天津小湊町にはたくさんいるのだそうだ。就職が決まって千葉県へ行くことになったときには、みんなに「あのヒルだらけの千葉に行くんだね」と言われたっけ。 ヒルと言えば「スタンド・バイ・ミー」に出てくるでっかいのしか知らなかったけれど、ヤマビルはもっと小さくて、茶色いナメクジという感じ。それが、あっちからもこっちからも、いっせいにこちらに向かって進んでくる。たまに立ち止まり、確認するように頭を上げ、そしてまた進んでくる。かなりコワイ。 血を吸われたことは、ずいぶん前に一度だけあるけれど、無理に引っ張ってはがすと歯だかあごだかが残っちゃうというので、一緒にいた人にタバコを近づけてもらった。そうすると、すぐに離れるのだ。血はなかなか止まらず、だらだら出てくる。かなりキモチワルイ。 血を吸われた頃にヤマビルに関する論文を読んでみた。それによると、採取場所一覧表に「地表」「石の裏」とかいうものと並んで「人」(!)なんてものがあったり、どのくらいの期間エサを食べずにいられるか調べるのに「息吹きかけ方式」なんてものをやっていたり(毎日蓋を開けて息をはあーっと吹きかけるというもの。おなかがすいていないといやがって、おなかがすいてくると「エサだエサだ」と寄ってくるそうだ)。かなりオカシイ。 ところで、宮崎駿の「もののけ姫」。最初のほうに出てくるタタリ神にいっぱいくっついているものは、どうもヤマビルっぽい。ヤマビルがいて、イノシシがいるとなると、舞台は千葉県!と思うのだけれど、どうなんでしょう?
by roki204
| 2006-06-02 00:14
| 千葉のあれこれ
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